18 9月 2007

フェラガモ その5


(写真の番号)は、とても良い写真だと思う。
アッパー、カウンター・ライニング(*)、それぞれの部品がよく分かる。
ここから踵部分にアッパーを固定していた釘を一本ずつ抜いていく。
細いマイナスドライバーを使用。


アッパーを持ち上げてみる。


(ここの赤いラインはフェラガモにメールして聞いてみる。)
このあたりで再び、解体される前の靴を比較してみよう。


ヴァンプ(*)部分にあるリボンが無いとフェラガモとは言い難く、
アッパーが無いと靴とは認識できないことが分かった。
ヒールの有無は、あまり関係と思う。


アッパーを完全に外すには、釘を一つずつ抜く必要があることが分かったので、
大活躍のマイナスドライバーで、アウトソール(*)を剥がす。


片足分のローヒールのパンプスでも、このように大きく形状を変えれる。
靴のパーツは自然に劣化していき、特に一部は独特の色合いを出していた。

(写真の番号)なんて、本当に美しい色彩がある。
廃墟マニアが朽ちる建物が美しいと言うように、
私も靴がこのように、履きこんだ日々を語るような色彩をされると堪らなくときめく。
しかも、この靴を履いていた方は
22.5センチのフェラガモの靴を履けるような大人の女性である。
プラスアルファで価値が上がっている。

アウトソールを完全に外せた。






次にアッパーを外すしながら、その他の部品も剥がしていく。

カウンターライニングを分離さすことに成功した。




カウンターライニングを外し、アッパーを整えたら靴に見える。
リボンがある時・・・

フェラガモになった。
このリボンの影響は大きい。

中敷


ヒールネイルも何もかも、靴のネジや釘は全てマイナスドライバーで抜いた。
あまりに小さいネジと釘だったので、くぎ抜きは使えない。
カウンターライニングが二枚に合わさっており、丁重に剥がしたかったが、
薄い革だったのと履く時のダメージで傷みがあったので、
渋々接着剤剥がしを使用した。
しかし、パーツが変色してしまうので、接着剤剥がしは少量で剥がすことに努めた。

(写真の番号)は足の甲あたりの接する部分にあったパーツだ。
これはフェラガモだけのパーツだと思われる。
製品番号らしき数字だが、真意は定かでは無い。
また先日、フェラガモ心斎橋高島屋店に行って同タイプの靴を見てきたが、
このようなパーツは無かった。
(フェラガモにメールして聞いてみる)



中敷にシャンク(*)と呼ばれる鉄の芯が靴に必ず入っているらしいので、
ちゃんとあるか探してみた。

入ってた。

実際に解体している時は、シャンクの存在を知らず、
初めてシャンクを見た時は、何故靴に鉄の芯が入っているんだと知的好奇心が震え上がった。
フェラガモ以外にも安価の大量生産してるパンプスも解体したが、
やはりシャンクは入っていた。
シャンクが無いと、靴として機能しなくなると靴を作る職人の方が教えてくれた。
これが無いと、シャンクが入っている部分に体重が一気にかかり、底が歪んでしまう。
だから中敷の間に入れ、衝撃から靴を守るクッションの役割になっているのだ。

次にボックス・トウ(*)をアッパーから剥がしていく。
アッパーの革も、ボックストウも少しでも綺麗な状態で靴から部品に戻す為、
時間をかけてゆっくりと剥がしていった。





このボックストウも、素敵な発見があった。

薄くピンク色の部分がある。
これは履いていた方のマニュキュアの色が写ってしまっているのだ。
マニュキュアの色が写るぐらいに、
足を靴に押し込めていたのが分かってしまった。
絶対、履いていた本人は知る術が無いだろう。
靴を解体した私だけが、履いていた方が足を押し込めて靴を履き、
ピンクのマニュキュアを塗る22.5センチよりも若干大きい足の持ち主という、
事実を知っている。
フェティシズムの一種と言われても仕方無いが、
解体したボックストウだけが知っていた秘密を知ってしまい私は興奮した。
そして、本来フェラガモの靴とは、
こういった足を無理やり押し込める女性たちの苦痛を無くすために出来たブランドの筈が、
この靴を履いた女性には伝わっていないことも、このボックストウで分かるのだ。

以上、フェラガモの靴を解体した記録である。
 

15 9月 2007

フェラガモ その④




ヒール巻きとトップリフトを完全に外してみると、こうなった。
ヒールの中にも、木の中にネジが入っているのが見えると思う。
このようにヒールと靴が繋げられていると、ヒールが折れることは、まず無いだろう。
昨今の流行りのヒールは、細く長い今にも折れそうなヒールだが、
こちらはしっかりと踵部分を支えている。
ブレストも勿論、剥がした。



ここの解体では、ネジが良い味を出していた。

靴を解体して時、驚くことが多かったと冒頭で述べたが、それはギャップがあるからだと思う。
人間はギャップに弱い。
足を保護する靴だが、開けてみると堅いイメージの材料ばかりで出来ていた。
ネジに足してもギャップを感じたのは、ここまで知恵と工夫が詰まった靴のヒールに
木が使われていたからだ。
昔だったら材料が限られていたから、木を使うのは自然なことだと思うのだが、
モノが溢れている今では、こういった自然のモノを使用することは逆に違和感を覚えた。
だが、アッパーに使用されている革こそ、何世紀も前から使用されている。
なのに、何故私は木が使われていることに対して違和感を覚え、ギャップがあると思ったのか。

とりあえず、ここでは解体を優先して進めていった。


糸を完全にほどいたバックスティから、アッパーを剥がしていく。
謎の赤いラインを見つけた。




(写真の番号)は、とても良い写真だと思う。
アッパー、カウンター・ライニング(*)、

途中まで!

12 9月 2007

フェラガモ その③

リボンを外し、次にアッパーに執りかかる。
靴とは、いくつかの部分で構成され完成品になる。
その為、すぐにアッパーだけを外すことは出来ない。



(写真の番号)のように、踵部分だけでも違う革が合わさっているので、
まずカッターナイフで糸を切っていく。
もちろん接着剤も使用されているので、
同じ糸を切る作業でも服を修理する時と同じ感覚だと、靴を構成しているパーツたちを傷めてしまう。
接着剤の剥がれ具合もチェックしつつ、糸を切っていくのだ。


少しづつ、慎重にカッターナイフを進める。



バック・ステイ(*)が外れた。

この辺りまでくると、解体するのが堪らなく楽しい作業になっている。
何も考えずに黙々と作業するからだろうか。
または、普段は私も大勢の女性と同じようにブランド靴に振り回されており、
それらを無残な姿にする破壊に快楽を感じているのか。
冒頭に述べたブランドとは何を指すのだろう、という疑問を持ちつつ、
説明できない楽しい気持ちでさらに解体していった。


ここまで糸を切ると、自然とパーツが離れていく。
しかし、カウンター・ライトニング(*)の向こう側に、さらに何かが挟まっているのが分かる。
たかがパンプス、されどパンプス。
フェラガモの靴は、賞賛に値する靴だというのが分かってくる。
リボン、中敷、カウンターライトニングの糸を外した状態のパンプスがこちら。


本体が人段落したので、ヒールをさらに分解してみる。


ヒール・ネック(*)に巻きつけてあるゴムのような合成材料をマイナスドライバーで、
テコの原理を使い持ち上げ空洞を作っていく。

このようにしっかりとヒール巻き(*)がされている。
ヒール巻きを外すと、トップリフト(*)も取ってみた。

この写真だけを見れば、もはや靴のヒールとは誰も思わないだろう。
靴を解体した私でさえ写真で見ても、ヒールの内部というイメージが湧かない。
現代アートですと説明があれば、頷いてしまいそうでもある。

ヒールの途中ですが、ここまでー。
あと三分の一ぐらい・・・。